デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

王都を一望できる丘の上で、シュリは馬の脚をとめた。

「よし、このへんでいいか」

馬から降りて、桜に手を差し出す。

「はあ……もう、怖かった…」

少しふくれながら、その手を取る。

ふっと笑って、シュリは桜を片腕で抱き寄せ、そっと降ろした。

パチン、と留金を外して、桜がケープを取った。

吹きわたる風が気持ちよくて、黒髪をなびかせながら目を閉じる。

白い肌に、真っ白なワンピースがいっそう清らかで、草の緑と青い空によく映えた。

「………」

風を一緒に受けながら、頬を染めて横目でそっとそれを見るシュリ。

(くそ……。ほんとに、可愛い…)

王やあの文官は、毎日こんな彼女が見られるのかと思うと、羨ましさで胸がぎゅっと絞まった。

はあ、と一つ息をつき、頭を振る。

「桜、ちっと早いけど、昼にしようぜ」

そう言って、馬に積んであったバッグから、飲み物といくつかの包みを取り出した。

「はい」

桜もうなずいて、二人は柔らかな草が生えている比較的平らな所に腰を下ろした。