デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「え……な、何だよ、いきなり」

どうして急にこんな事を言い出すのだろう。茶色の瞳を揺らして彼女を見つめ返した。

『すぐ近くの女』の気持ちに気づかない?俺が?

……もしかして、今桜は俺にとんでもなく大事な事を言ってるんじゃ。

ものすごく重要なサインを出しているのでは。

まさか。桜は俺を……?

徐々にその顔を赤くしながら、口を開いた。

「い……今は、気づいてると、思う」

「え」

桜がその目を見開いた。

シュリは、ごくっと喉を鳴らす。

「…桜、お前、もしかして、俺のこ」

「シュリさん、今好きな人か付き合ってる人いるんですか!」

自分の発した言葉にかぶせるように飛び出した桜のセリフに、頭からバケツいっぱいの氷水を浴びせられた気分になった。

「〜〜っ俺は絶っ対、お前よりは鈍くなんかない!!」

真っ赤になって言うが早いか、早とちりの恥ずかしさのままに、愛馬の脚を速めた。

「きゃ!ちょ、ちょ、怖いです、シュリさん!」

いきなりのギャロップに、桜はあわてて鞍の前をつかんだ。

「ムダに煽ったバツだ。ザマーみろ!」

ヒュン、と手綱をさばき、脚で巧みに馬の腹に指示を出して、わざと後ろ脚を跳ねさせるように進む。

「きゃああ!怖い!怖いです!落ちる!」

真っ青になってパニックになる桜を、後ろから片手でギュッと抱いた。本人はそれどころではなかったが。

(もう!絶対、自分で馬に乗れるようになってやる!)