デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜がほれぼれして言うと、シュリは後ろでちょっと赤くなりながら笑った。

「まあ、武官にとって自分の馬は手足と同じだからな。この位は最低ラインだ」

「そうなんですか……」

「ああ。馬術は錬成所で一番鍛えられる技術の一つだ。乗るだけじゃなくて、世話もな。ブラシのかけ方から、俺もむちゃくちゃ怒られた」

当時の教官の恐怖指導を思いだし、苦笑いする。

「でも、素敵ですね、こんなかわいい相棒がいて。私も乗馬が出来たらいいのにな」

「お前が?馬に?」

シュリが意外そうな声を出した。

「あれ、変ですか?」

「……いや、女は乗馬なんかしないだろ」

「え?そうなんですか?」

思わず振り向く桜に、当たり前のような顔でうなずく。

「じゃぁ、女性の武官はいないんですか」

「は!?」

桜の問いに、素っ頓狂な声がでた。その後、声を立てて笑い出す。

「何言ってんだ、いるわけないだろ。どっからそんな発想が出てくるんだよ」

「……………」

桜が当たり前に持っていた価値観からすると、何だか面白くなかった。