デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

王宮の堀を渡り、少し歩いた。

「どこに行くんですか、シュリさん」

フードの下から桜が聞くと、弾む声が返ってきた。

「遠乗り行こう。…て言っても、そんなに遠くには行けないけどな。たまには王都の外に出て、ちょっと早めの昼飯食って帰って来よう」

「え…でも確か、外から中に入れる時間って、決まってましたよね。大丈夫ですか」

シュリの顔を見上げて聞くと、うなずいた。

「ああ、午前中に二回ある。一回目は謁見に合わせた時間だが、二回目は昼前に開くんだ。その時に入れば間に合うさ。お前と、王の時間に」

最後の言葉を、ほろ苦い思いで付け足した。

昨夜はだいぶ酔っていたとはいえ、彼女を困らせるような事を言ったかもしれない。
たとえ本心だったとしても。

「さっ、弁当買って行こうぜ」

愛馬の背に飛び乗って、笑って桜に手を差し伸べた。

「お弁当屋さん、あるんですね」

馬に揺られながら、桜が言った。

「ああ、結構たくさんあるんだぞ。しかも今が一番品が多い時間帯だ。仕事する人間が朝買ってくからな」

「なるほど……自分たちで作って持っていかないんですか」

「……弁当をか?」

シュリが目を丸くした。