デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「…………」

反論出来ない。

パクパクと口だけ動かす桜。

「いや…でも………そんなバカな」

フフフ…と微妙な笑みを浮かべ、また二人は歩き出した。

公宮に着き、その内部半ばまで進んでから、出入り口までの道順を教えてもらって女官と別れた。

歩きながら、フード付のケープをはおる。
そろそろ謁見が始まる時間だった。ぞろぞろと謁見の間を目指してやってくる人の波に逆らって、桜は出入り口に着いた。

「桜」

たたずんでいたシュリが声をかける。

「おはようございます、シュリさん」

「おう。じゃ、早速行こうぜ」

昨日の様子とは打って変わって、大きな笑顔で桜の手を引いて歩き出した。
すれ違う臣下や客の、好奇や嫌悪のジロジロとした目線が二人に注がれるが、シュリは一向に気にせずズンズン歩いていく。

「シュ…シュリさん、少し、離れて……」

桜がいたたまれなくなって、小さく訴えた。

「?あ……手、つなぐの嫌だったか。ごめんな、無神経で」

あわててその手を放し、頭をかいた。

「ち…違うんです。ごめんなさい、私がフードもかぶらないままだったから…私といるところをあんまり見られたら、シュリさんまで悪く言われちゃいますよ」

目を伏せて、急いでフードを深くかぶった。