デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「ど、どうしたの!?お仕事、終わったんでしょう?ごはんは?え、ずっと、待ってたの!?」

矢継ぎ早に聞く桜に、少し笑った。

「お前の部屋に、灯が入れられてなかったからな。それに、あの武官はここまで送っては来れないだろう?ま、安全のためにな」

静かに言って、部屋に向かう。

「灯を入れるから、入るぞ」

履物を脱いで部屋に入り、一つ一つともしてゆく。

次第に明るくなっていく部屋。

最後の灯を入れ終わって、「これでよし」と桜に向き直った。

「カナン…すごく待ったでしょ。ごめんね」

カナンが待っていてくれたのに、知らないこととは言え、自分がのんきに飲み食いしていたかと思うと、胸がつまった。

「今日はちょっと長く仕事がかかったし、別にそんなに待ってない。私が勝手にしたことだから、気にするな」

軽く笑って、部屋を出ようと戸口へ向った。

「あ、待って。せめてお茶、飲んでいって」

きゅっと着物の袖をつかんで引き止めた。
そんな彼女を目を丸くして見たが、小さく頭を振る。

「いや…もう夜だし、帰る。誰かに見られて、おかしな事を言い立てられたら厄介だぞ」

「……」

カナンの想いが伝わってきて、桜は唇を噛む。部屋の灯を気にして、シュリと一緒に出かけていった自分の帰りを心配してくれて。