デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

結局、強めの酒のボトルをシュリ一人でまるっと空けたところで、二人は店を出た。

「ごちそうさまでした、シュリさん…ごめんなさい、私お金持ってないくせに注文しちゃって」

申し訳なさに何度も頭を下げた。

もう、絶対バイトさせてもらおう。明日王様に言おう。

そう固く心に決めた桜に、

「お前に金なんか出させるわけねーだろ」

ひょい、とその瞳をのぞき込んで、くすっと笑った。

なんだかそれがいつになく妙に色っぽくて、酒のせいでなく赤くなる。

もうすっかり夜になり、いつもの様に二つの月と星が輝いていた。

「さあって、まだ帰したくないけど、王宮に送ってくか」

少しおぼつかない足取りで、馬を引いてくる。

「シュリさん…だ、大丈夫ですか。馬なんて乗れます?」

真っ赤でフワンとした目のシュリの腕に、心配そうに触れると、ずい、と顔を近づけられた。

「!」

端正な顔立ちが間近に迫って、桜が固まると、ふぅ、と息を唇に吹きかけられた。

「ひゃっ」

思わず両手で口元を押さえる。

「武官はな、桜。両腕を斬り落とされても、馬には乗れるんだぞ。大丈夫だ。…さあ」