デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

なので、わざと明るく言ってみる。

「これ、おいしいですね。ジュースみたいで飲みやすいです」

「ジュース?」

「ああ、えっと…果実水のことです!」

それを言って、ふと首をかしげる。

(あれ?何で私、果実水の味を知ってるんだろう)

飲んだこと、あったっけ。最近、あったような……
思い出そうとするが、なんだか頭にモヤがかかったようになる。

「飲みすぎんなよ。酒には変わりないからな」

ようやく、シュリが小さく笑った。

「いやあ…シュリさんこそ」

桜が少しホッとしたような笑顔になった。

「ふふ、髪も顔も真っ赤ですね」

アルコールの力も手伝って、いつもより言うことがこなれている。
白い頬がほんのり桃色になって、きらきらした黒い瞳とあいまって少し色っぽい。

(……可愛いな……)

少し苦しげに目を細めて、おいしそうに料理を口に運ぶ目の前の少女を見た。

もう、本当に。

「……さらって行きたい」

店内の談笑にかき消されるくらいの小さな声で言った。

王も、あの金髪の文官も関係なく。

俺はバカだから、こ難しいことは考えたくないんだ。

ただ、目の前のこいつが欲しいだけ。