デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「それは……困るな。本当に、困る」

ふっ、と唇だけで笑った。

「シュリさん。…シュリさんは、今までそういうこと、なかったですか」

「俺?」

怪訝そうにシュリが赤い顔を上げた。

桜はうなずく。

「シュリさん、きっとモテますよね。その…今まで、たくさん女の人から告白とか、されたと思うんです。そういう時、自分の心が分からない時、どうしてましたか」

彼女にしてみたら切実に助言を求めるものだったが、シュリの胸はひどく傷ついた。

すっかり味なんか感じなくなってしまった料理を、惰性のように口に運ぶ。

「………俺は別に、女に言い寄られたことなんかないぞ」

「…気づいてなかっただけですよ、きっと」

こんなにかっこいい人が、一回も女性から愛を告白されなかったことなんて、あるわけない。

また、とくとくとグラスに酒をついで、水のように飲む。

「お待たせしました〜」

先程の店員が、桜の甘い果実酒を持ってきた。出ていったあとで、するりとフードを脱ぐ。

黙りこくってしまったシュリを見て、桜は少し心配になった。
困らせる質問をしたかもしれない。せっかく会えたのに、楽しくない時間になってしまったかも。