デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「ああ、違います、そうじゃないんですよ」

あわてて両手を振ってみせた。

(……言ってもいいものかなあ、王様とカナンのこと)

なんとなく、言いにくい。
恥ずかしいし。

「じゃあ、何なんだよ?」

シュリは心配そうに桜の瞳を見た。

(う……ごまかせない)

でも相談したら、もしかしたら真っ直ぐな彼らしく、すぱっと『気にすんな、なるようになるさ』と元気付けてくれるかもしれない。
それこそ、兄のように。

こくん、と喉を鳴らして、小さく桜は話した。

「いや…その…信じられないとは…思うんですけど…」

ふわ、とその白い頬を染めて、目線を泳がせる。

「あの……なんか、王様とカナンに…好きだって、言われて……」

「!!」

ブラウンの瞳が、凍りつく。

身じろぎせず、固まったまま自分を見るシュリ。

「でもあの……私、まだわからなくて。そしたら、待つからって言われて…申し訳ないんです。私みたいなのが、二人の気持ちをそのままにしてしまってて」

サア、と頭から血が引くような感覚に襲われたシュリは、グラスをあおった。