デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「あっ、その、違うぞ!前がかわいくなかったってわけではなくてだな」

シュリがあわてて説明しようとした時、

「では、私はこれで失礼いたします」

カナンの硬い声が響いた。

「あ、カナ……」

表情を見せることなく素早く一礼し、踵を返して宮の奥へ大股で歩いて行った。

「相変わらず、宮中の人間はよくわかんねーな」

シュリが頭をかく。

「いえ、カナンはあんなんじゃないんです」

(もしかして、シュリさんに抱きしめられたから、不愉快になったのかな)

桜にしては珍しく方向性は合った予想だった。

(……でも、シュリさんと私はそんなんじゃないって、カナンと仲直りした時言ってるしな……)

が、詰めが甘い。

「…まあいいや、時間がもったいねー。メシ食いに行こうぜ、桜」

「え!?王宮の外にですか?」

「もちろん。リーも連れてきたぞ」

ブラウンの瞳を細めて、大きな手で桜の手を取る。

階段の下に待たせてあった馬車に乗り込んで、夕日の中を王宮の門に向かって走り出した。