デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

王宮の敷地内は、基本的に緊急時や閲兵式を除いて馬での移動は出来ないが、王は例外だ。

カツカツという軽快な音を立てて、二人を乗せた馬はゆっくりと進んでいた。

馬車とはまた視点が違って、目に楽しい。

(シュリさんと、アスナイさんと旅してた時を思い出すなあ)

馬上の風を受けて、そっと目を閉じながら桜は思った。

一方王は、桜が意外と乗馬に慣れている事に少し驚いていた。
手を貸してやればスムーズに乗れたし、馬の動くリズムにも無理なく合わせている。

その理由は考えなくてもわかるが、彼は心の中で無視をした。今こうやって腕の中に桜がいて、二人で散歩ができている事が嬉しかった。

「きれいな庭ですよね。そして広い…」

広がる緑と澄みきった池を見つめて、桜は呟いた。

深宮と客用の宮が、池の遠く向こうに見える。

「何度もまわったから、私にはそんなに広くは感じないがな。気に入ったなら良かった」

涼しい木立の中をゆっくりと月毛の馬が進み、小さな青い蝶の群れが前を横切る。

「…ピクニックに来てもいいくらいの広さですよ、ほんとに」

「ぴ?」

「あれ?こちらではしないんですか?そういうの。こういう山とか川とかに出かけて、お昼ごはん食べて、遊んだりのんびりしたりするんですよ」

「野営とは違うのか」