デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ほどなくして、美しい月毛の馬がうやうやしく引かれてきた。

「大儀であった。汝らも、礼を解いて良い。仕事に戻れ」

そう言って手綱を受け取り、桜の手をしっかり引いて歩き出した。

ようやく顔を上げた臣下たちは、桜の容姿と、どう考えてもそれにそぐわない王の寵愛ぶりに、後ろで思わず目を見合わせていた。

「きれいな馬ですね」

微笑んで言う桜に、王も満足そうに言う。

「名は、ソニアだ」

そっとたてがみをなでてから、ひらりとまたがる。

いつも物静かな彼しか見ていない桜には、新鮮に感じた。

凛々しいその姿は、昼の日の光を浴びて、まるで一枚の絵のようだった。

(うーん……一々きれいだよなあこの人……)

もうここまで来たら感心する。

「王様、やっぱり素敵ですねえ」

思わず桜が言った言葉に、手を差し伸べようとしていた王は不意打ちを食らって赤面した。

「な……」

「?」

純粋な感想として言った桜は、その様子に首をかしげる。

小憎らしいほど他意がなさそうなその態度に、顔を赤くしたまま、紫の瞳でクッと睨んだ。

「煽るなと、何度言ったら分かるのだ、そなた」