デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~


「ああ、思い出しました、そういえば!」

ポンと手を打って、主人がニッコリと二人を見た。

「何でも今日の昼間、『魔が現れた』とちょっとした騒ぎになったそうですよ。『地下の門』があるわけでもないこの街に、なんでまたそんな者が現れたんですかねえ」

その言葉に、シュリとアスナイは顔を見合わせた。

「おいアスナイ、まさか…」

「我が君が下さったお言葉とも合う。…合いすぎる。良かった、こんなに早く分かるとは」

シュリが勢い込んで主人に尋ねる。

「店主、その騒ぎがあったのはどこだ?そいつは今、どこにいる?」

「さあ…聞いたような気もいたしますが、恐ろしゅうございましたゆえ、思い出せませぬなあ」