デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「あーびっくりした……何であんなに怒ったんだろ」

ワンピースとバニティバッグを抱えて馬車に乗った桜は、首をかしげた。

結局、シディの仕事の都合で5日後に髪紐の作り方を教えてもらえることになった。

(アスナイさんのお休みいつかな)

予定がわかればいいのだが。

馬車から空を見上げると、もうだいぶ日が高い。

やっぱり少し蒸し暑く、部屋に帰ってお湯を浴びられる時間があればいいんだけどな、と思った。



部屋に帰るとほぼ同時に、二人の女官が昼食を持ってきた。

桜を見ると、ま、と笑顔になる。

「桜様、シディ統括長にバッチリ仕込んで頂いたんですのね!」

「おまけにヘアメイクまで!統括長直々になさったんですわよね、羨ましいですわ!」

桜は苦笑いして、うなずいた。

「ありがたいんですけど、私みたいな人間には大変でした。でも、教えるシディさんはもっと大変だったと思います」

バニティバッグを軽く振って見せた。

わあ、と顔を輝かせてそれを見る二人。中を見せると、うっとりとシディが厳選したメイク用品を見つめている。

この二人の反応が一般的なら、なるほど宮中を平気でスッピンでウロウロしていた自分はおかしいのかもしれない、と桜は思った。