デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

だいぶ日が高くなった頃、ようやく

「………フン。ま、いいでしょ。合格ね」

の一言をもらうことに成功した桜は、思わず小さくガッツポーズをした。

「やった……!」

「はいコレ」

「?」

すかさず目の前にドサ、と置かれた四角いバッグのようなもの。
開けてみると、中にはケア用品からメイクアップ道具まで、一通り以上のメイク品がギッシリ入っていた。

「………」

固まる桜に、シディは自慢げに言った。

「今日アナタが覚えたこととこの道具を使ったら、アタシがするのとそう遜色ない仕上がりになるはずよ」

ギラリ、と桜を脅すように睨む。

「今日やったことを忘れないように、毎日メイクをなさいッ。次会った時に今より質が落ちてたら、チャーシューにするわよ」

シャキン、と裁ちバサミを広げた。

「ま、毎日!?ですか!?」

ぎょっとして桜が言うと、クワワッと鬼の形相になる。

「あったり前でしょ!17にもなって王宮にいて毎日我が君と顔を合わせていて、ずーーっとスッピンなんて、ホントは恥ずかしくて人に言えないレベルよ、子豚!!四の五の言わずに、言うとおりにすんのよっ!!」

そしてニッコリと笑って、ショキショキと裁ちバサミを動かしながら言う。

「まぁ、次会った時にアナタを見たら、アナタがサボったかサボってないか、アタシにはお見通しだけどね」

「うう……」

ガクリ、と桜が降伏するのを満足げに見届けてから、桜に合う夏用のワンピースを取りに、服の列にフリフリと突進していった。