デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(思った以上にスパルタだぁあ〜…)

メイクどころか肌の手入れもしたことのない桜だが、何とかシディの地獄の特訓に食らいつく。

しばらくして、どうにかベースメイクの合格点をもらった。

フフン、と満足そうに腕を組んで鏡の中の桜を見た。

「ホラ見なさい、アナタが本来の肌を取り戻したから、最初にしたメイクの時とは段違いにノリもいいでしょ。子豚なりに頑張ったじゃない」

(……褒められた…)

「安心すんのはまだ早いわよッ!次はメイクアップですからね!!バッチリ覚えないと、ソーセージにするわよ!」

「は、はひ…」

再び背筋を正す桜。その前にてきぱきと道具を列べるシディに、ふと聞いた。

「シディさん」

「何よ」

「あの…どうしてここまで、してくださるんですか。私、あんなに生意気言ったのに」

鏡の中で、シディの目を見た。

「……まあ、アタシの腕試しと、アナタを使った代理戦争よ」

「えっ?」

今日、王がまた直々に桜を頼むという連絡をしてきた。この間の一件と合わせて、これでシディは王の桜への執心が気まぐれでないことを確信したのだ。

加えて、あの二人の武官の思いも知っている。