デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

謁見の間に行き、椅子に座る。

「帳を開けよ」

いつもの一言で、謁見が始まった。

様々な地方から、色々な容姿の人間が集まってくる。

はるばる何十日かかけて、治水工事の請願に来たり、内乱の後処理の遅延を何とかしてほしいというものもあれば、娼館が乱立し街の風紀が乱れて困っているといった物まで、大小様々だ。
いつものように、淀みなくてきぱきと裁定を下し、遠方からの使者に対しては宿泊と旅にかかる経費の世話を文官に小さく言付けることも忘れない。

人口が増えたため、病院と学校の増設の請願に来た者に人口の増加率に応じた建設を約束し、次の謁見を呼んだ。

「失礼いたします。赴任地の内情報告のため、まかり越しました」

背の高い、精悍で端整な顔と、赤い短髪の武官が入ってきた。

シュリだ。

はっ、と息をのんだ。
そうか、明日が休みか…。

波立つ王の心など露知らず、シュリは武官長からの報告書を二通、近侍経由で手渡し、簡単な内情報告を済ませた。

「…大儀であった」

うなずく王に、ひざまずいたまま深く一礼し、

「今日の午後と明日、桜と会いたいのですが、お許し頂けますか」

期待に満ちた大型犬のような目で王を見上げた。