デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

翌日。

「我が君、謁見のご準備を」

「………」

毎日のことながら、盆に並べられたアクセサリーの数々にげんなりする。

何百年経っても、事務仕事が終わって謁見の前のこの一時が、一番面倒だった。

第一、この長い髪だってバッサリ切りたい。こんなものがあるから髪紐だの髪飾りだのをつけないといけなくなる。おまけにアクセサリーに挟まって鬱陶しい。

が、臣下にとっては王がその辺の武官と同じような格好でいるのは嫌らしく、拒否しようとすると一丸となって反対はしてくるのだ。

しぶしぶ、指輪に手を伸ばした。

ふと、桜の事を思った。やり過ぎでなければ、贈り物は嬉しいと言っていたはずだ。

(指輪を一つ贈るくらいなら、いいだろうか)

いや、指輪ではない方がいいだろうか。耳飾り?ブレスレット?

そもそも、彼女の好みが分からない。あのカナンのネックレスは気に入って毎日つけているようだが。

(………そもそも、やり過ぎとは、何がやり過ぎなのだ?)

何でも高価であれば高価であるほど、与えれば与えるだけ喜んでいた他の女とは違う。

全く経験したことのないパターンに頭がとらわれ、手が止まりそうになりながらアクセサリーを着け終えた。

す、と戸が開き、カナンが姿を見せた。

「我が君、謁見の者を通してもよろしいですか」

ちらっとそのネコのような目を見た。

(…カナンなら、わかるのだろうか)

そう思ったが、まさか聞けるわけない。

小さく息をついて、うなずいた。