デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

だからといって、あれだけ若い女を拒絶していた彼が、こうもあっさり桜を愛するようになったのは苦い想定外だったが。

それに、今強引にカナンを桜から遠ざけるような真似をしたら、桜自身が自分からますます離れてしまうだろう。

そのくらい、あの二人は仲がいい。

恋人ではないが、性格がぴったり合っているようだ。

(……夫婦になったら、きっと仲睦まじく暮らすのだろうな)

以前の自分なら、快く二人を王宮の外に住まわせてやったに違いない。

色合いの調和がとれた花を二つ、植えかえるように。

自分が王で、彼らが同い年の若者という立場を考えたら、誰もがそれが自然だと思うだろう。

少し、顔をしかめて身を起こした。

(分かっているが、それだけは出来ない)

くるりと踵を返し、自室に戻った。

広すぎる部屋のソファに独りで身を沈めると、一日だけ、桜がここに来てくれたことをいつも思い出す。

本当は、桜もここに住まわせたい。
あの夜のように、二人きりで毎日過ごせたら。

『寂しい』という感情が、最近痛いほど分かるようになった。

(……早く、私を選んでほしい)

自分が、桜自身を尊重できるうちに。優しくできるうちに。