デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

自分の部屋に帰る時間になった時、あ、と思い出して王に言う。

「王様、あの、お願いがあるんですけど」

「ん?珍しいな、何だ」

桜から何かねだられるのが嬉しくて微笑む。

「明日、馬車をお借りしたいんです。【衣の司】に行きたくて」

すると、王は軽くうなずいた。

「ああ、構わぬ。私の執政の間に行ってくるが良い。統括長には私から連絡しておこう」

「ありがとうございます」

「しかし、何故に?」

「暑くなって来たので、服をお借りしようかと思って」

なんとなく、メイクのことは恥ずかしくて言い出せない。

「ああ、なるほどな」

「王様、ここって、暑さはどうやってしのいでるんですか。エアコンもないし」

桜の問いに、サラ、と藍色の髪を音をたてて首をかしげた。

「えあこん?」

「ええと…夏にお部屋の空気を、涼しくする機械です」

ああ、と合点がいったように王は説明した。

「それなら大丈夫だ。雨暑期に入ったら、宮中の温度は一定に保たれる」

「神力で、ですか?」

「ああ。王宮神処に頼んでいる」

つくづく、便利な力だ。桜は感心した。