デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

昨日から、桜は自分の世界の伝承やおとぎ話を王に聞かせていた。
まるで子供のようだが、こちらの世界にはあまりそういった空想の話がないらしく、王はその紫の目を輝かせて聞いていた。

「豊かな世界だな、そなたの世界は。多くの国があるからこそか……。まるで虹のような彩りの星なのだろうな」

遠い目をして、地球への憧れを口にした。

「でも、問題も多いんですよ。戦争だったり、経済の格差だったり…。それぞれの国が、それぞれの人が、自分なりの正義を持ってますから」

「だろうな。そなたを見れば、なんとなく分かる」

他者からの抑圧を嫌う心。相手と対等であろうとする姿勢。

それがぶつかると、きっと激しいものになるのだろうと王は思った。

「だが、そこに何とも惹かれてしまう」

そっと、その黒髪をなでた。

そのスキンシップが激しくなる前に、あわてて桜は話題を戻した。

「さ、王様!次は『人魚姫』ですよ!」

「……かわすのばかり上手くなってきたな」

むぅ、と唇を尖らせる。

その顔が少しかわいくて、桜はふふ、と笑った。