デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「…………」

「しかもそなたは他の女と違って、命令や贈り物でも絶対に私のものになどならないだろう?…ならば、王だろうが近侍だろうが武官だろうが、条件は一緒だ。私に自信を持つ要素など、どこにある」

ふっ、と自嘲気味に笑って、桜を振り返った。

「王様、でも、私は王様と話すの、楽しいですよ。そりゃ緊張もするけど。だからちゃんと毎日来るじゃないですか」

「………」

紫の瞳が伏せられる。

「それに、こうやって宮に住まわせてもらって、感謝してます。それは王様にしかできないことでしょう?私を守ってくださってるじゃないですか」

立ち上がり王の前に膝をついて、おそるおそる手を取った。

「ごめんなさい、王様。私、勝手に王様は自信も余裕もある人だと思ってて、無神経なことをしましたね。このネックレス、王様と会うときには外しますから」

しばらくまた沈黙した王は、静かに口を開いた。

「……本当に、そなたにとってはその首飾りは、今は記念のアクセサリー以上の意味はないのか」

じっと目を見つめて聞かれる。桜はうなずいた。

「はい。もちろん、せっかくカナンが買ってくれたからというのもありますけど。まだ……このネックレスを本当の意味でつけてるわけじゃありません」