デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

長い指が、それをすくい上げた。

チャラ、と音を立てて、ペンダントトップを持ち上げ見た。

「……そなたが、アクセサリーが好きだとは知らなかったな」

乳白色の石が貼られたそれを指でもてあそびながら、静かに言った。

(な……なんか、機嫌悪い……?)

背後から伝わる冷たい雰囲気にどぎまぎして、桜は身を固くした。

「教えてくれれば、こんな安物よりも、もっとそなたに良いものを贈ったものを」

ぐ、とその手がチェーンを握りしめる。

そのペンダントトップのモチーフが何か、王はとっくにわかっていた。

ポツポツと黒いインクが水に落ちていくように、心が暗く濁ってゆく。

そうとは知らず、桜が少し強めに反論した。

「そんな事言うのやめてください。私はこのネックレス、かわいくて好きなんです」

「こんな陳腐なものがか。そなたも褒められた趣味ではないな」

後ろで冷笑され、さすがにムッとして顔をしかめた。

何でここまで言われるのか。

「別に王様に褒めてもらいたくてつけてるわけじゃありません」