デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

すり、と今度は桜の耳元に頬を寄せる。

徐々に顔を赤くしながら、

「え、王様がしたかったんじゃないんですか、お仕事…」

桜がそう言うと、後ろからかぷっ、と耳を柔らかく噛まれた。

「きゃぁ!」

また飛び上がり、慌てて身を起こそうとしたが、ギュッと抱きしめられる。
ボッと一気に顔に熱が集まり、たちまち固まった。

「一日中、好き好んで仕事などしたくはないわ。そなたがおらぬからだ」

むうっとした声が、耳元で桜を責めた。

「で、で、でも、私が来たのなんてつい最近じゃないですか………。今まで、午後は何をなさってたんですか」

「さあ…気の向くまま過ごしていたからな。覚えておらぬ」

今度は首筋にそっと唇をよせた。

静かな吐息がかかって、桜はビクッと身を震わせた。

「あ、あのう…今日どうしたんですか、王様!お、お、お話、しないんですか?」

何でこんなにスキンシップが激しいのか。ぷるぷるしながら羞恥に耐える。

「…昨日は、そなたはカナンとずっと一緒にいたのだろう?まるで本当の、普通の夫婦のように。……それが一日中頭をちらついて、私が愉快だと思ったか?」

低い声で言って、また、ギュッと腕に力を込める。

「このくらい、私にも許されて良いと思うがな」

ふと、桜のうなじにかかる、シルバーのチェーンに気がついた。