デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

昼過ぎ、いつもの文官のスタイルで全く変わらずに、カナンが迎えに来た。

「準備できているか。行こう」

「うん」

ソファから立ち上がる桜の胸元に、揺れるネックレスを見つけて、カナンはそっと目を細めた。

自分のきっちりと合わせられた文官の着物の奥にも、あの片割れがちゃんと首にかけられている。

連れ立って、深宮への渡り廊下を歩く。

「昨日はありがとう、カナン。引き止めちゃってごめんね。遅くなっちゃったでしょう」

桜が礼を言うと、サラサラと金髪の頭を横に振った。

「いや、大丈夫だ。別にそこまで遅くなったわけじゃないしな」

元々、眠りがとても浅い方なのだが、昨日は何だか幸せな気分でぐっすり眠った。

そっかあ、よかったと微笑むこの少女と一緒に暮らせたら、きっと毎晩そうなのだろうと思う。
時々悩まされる昔の悪夢ではなく、温かくて幸せな夢を見るに違いない。

そうしているうちに、二人は深宮に着いた。

「あ、ねえカナン、今日王様のご機嫌どうだった?」

どうやら、昨日の宮中の様子を知っているらしい。

そう悟ったカナンは苦笑いして言った。

「大丈夫、いつもとお変わりなかった」

そう、不気味なほどに。

何も知らない桜はそれに少し安堵して、カナンに手を振っていつもの部屋へ向かった。