デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「…そういうことになる。いずれにせよ、その身柄を早く確保しなくては。万が一、奴隷に売られたり、殺されたりしてしまったら取り返しがつかない」


「神告のあった場所って、たしかキトニの街か……俺は嫌いじゃないが、あまり治安のいいところとは言いづらいな」

シュリの言葉に、アスナイも頷く。

「もともと、処刑場や監獄のあった場所だからな。法の外で暗躍する輩も多い。その分金銭的には豊かな場所だから、活気のある街だが」

「…そういやその昔、処刑した罪人を街の近くを流れる河に捨ててたっていうよな。その怨念が積もって、あの河はさざ波一つたたなくなったとか」

少し青い顔をして、シュリはきゅうっと唇を結んだ。

剣や体術の腕は国内武官随一だというのに、こと怪談話になるととたんに子猫のようになる。

アスナイはそんな相棒を心底呆れた目で見やると、

「あの河が静かなのは、水源が国内でも特殊な地質の鉱山から流れ出ているせいで、水自体が『重い』んだ。太古の昔から、ずっとそうだ。アホか、お前は」

やれやれと嘆息した。