デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

翌朝。

朝風呂に入ってじっくりと汗をかいた後、体を拭いて鏡の前に立った。
あまり自分の姿をまじまじ見るのは嫌なのだが、シディからもらったボディファンデを塗るために仕方ない。

王につけられた痕は赤みが少し落ち着き、黄色を帯びてきていた。

「あれっ?」

その近くに、真新しい痕がある。まるでつい昨日今日つけられたような。

「やだ、いつの間についたんだろ……」

驚きと困惑に、首をかしげる。

虫にでも刺されたんだろうか。

(昨日はカナンと一緒にいたけど……違うよね。だって……く、口に、キ、キ、キスされただけだったし)

ホテルでの出来事をまるで覚えていない桜は、まあ虫だろうと思って、ボディファンデをせっせと塗りこんだ。

ワンピースを着て湯殿の外に出ると、寝台のサイドテーブルに置かれたネックレスに目がとまった。

手にとって、じっと眺める。乳白色の石が、朝の光を柔らかく反射しながら揺れていた。

(かわいいなー。派手じゃないし、付けやすいや)

微笑んで、留金を外して首につけた。

その時、部屋の戸がノックされた。

「あ、はい」

返事をすると、フラウとルネが朝餉を持って戸を開けた。