デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

馬車に乗り込んで、桜はカナンを振り返った。

「じゃあ、おやすみ。カナン。ありがとう」

「……やっぱり送る。客用の宮まで」

そう言って、彼も馬車の中へ。

「え…でも、今日はお休みなのに。帰るの、遅くなっちゃうよ?」

「いい。…私が、送りたいんだ」

小さくそう言って、桜の向かいに座った。

夜風を受けて、馬車は公宮に向かって走り出す。

「カナン。せっかくだから、カナンもあのネックレス、大事にしてね」

つけてね、とはいろんな意味でさすがに言えない。

「………」

返事の代わりに、おもむろにさっきのネックレスの片割れを取り出した。
シャラ、という音をさせながら、カナンが自分の首にそれをつける。

「いつも、つけておく。まあ、普段は着物で見えないだろうがな」

真っ直ぐに自分の目を見てそう言う彼に、桜は赤くなって下を向いた。