デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

店を出ると、すっかり夜になっていた。

「はあ…風が気持ちいいね」

「ああ」

ごく自然に、手を繋いで歩き出した。

少し歩いたら、もう王宮の門はすぐそこだ。

「カナン」

「ん」

「今日はありがとう。すごく楽しかった。また暇な日があったら、付き合ってくれる?」

「お許しが出ればな」

あ、そっか、と苦笑いする桜をそっと見た。

気分を上げられたり下げられたり、本当に振り回された。

全く。退屈させない娘だ。帰したくないほどに。

堀の橋の衛兵の姿が見えたとき、一日繋がっていた小さな手が、そっと離れた。

今日が終わることを実感して、寂しさがちくりと胸を刺した。

「なんだか、寂しいね。終わっちゃうなあ」

桜が同じことを言ってくれたから、カナンは少し笑った。