デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

自分はでは、他の人間に桜を奪われる心配の上に、彼女自身が消えてしまう可能性に怯えないといけないのか。

ずる、と椅子に力なく座る。

青い顔をして黙り込んでしまったカナンを見て、桜は言った。

「カナン、じゃあ約束する。王様やカナンの気持ちにちゃんと答えを出すまでは私帰らないし、帰る方法も探さないから」

「………」

「例えばもし、その…カナンの気持ちに応えられたら、そのときは帰る必要、なくなるでしょう?きっと、ずっと一緒にいたいって、思うはずだから」

それを聞いて、ようやく顔を上げた。

みっともなく動揺した恥ずかしさに、目線を泳がせて。

「もう一つ、約束してほしい」

「ん?」

「お前の答えが出るまで、二度と、もとの世界に帰る事など口に出さないでほしい」

桜への恋情をはっきりと映すその瞳が、切実に細められた。
それを見て少し頬を赤くした桜は小さく、けれどはっきりとうなずいた。

ようやくほっとしたらしいカナンは、また酒のグラスに手を伸ばす。

「私も飲んでみようかなあ」

雰囲気を変えようと、桜が言ってみる。

「未成年なんだろ、やめとけ」

やっといつもの調子を取り戻したカナンが、クスリと笑った。