少し遠い目をして、優しく笑顔を浮かべ夕方の街を見る桜の手を、カナンはグイと引っ張った。
「…確かあっちの遊技場の前に、客寄せに動物の曲芸を見せる一座がいるはずだ。見に行こう」
「あ、うん、見たい」
また自分に目線を移して笑う顔に、ぎこちなく微笑みを返した。
今日だけは、私のものだ。
一瞬だって、他の人間に譲りたくない。
ひどい独占欲に自分でも小さい奴だと思うが、もうこんな一日を、次いつ得ることが出来るか分からない。
呼べば桜と好きなだけ会える王や、必ず月三日、桜との時間を持てることを仕事によって保証されているあの二人とは違うのだ。
「わあ、かわいいね!」
ハムスターのような生き物が、何匹かでちょこちょこと芸をするのを眺めながらにっこり笑う桜を、そっと横目で見る。
王宮に帰りたくない、と、近侍になって初めて思った。
こうやって休日に二人で楽しんで、当たり前に自分たちの家に帰っていく夫婦が羨ましい。
王の心が、桜から離れることはないのだろうか。
他に主君の寵愛を得られるだけの美しい女や、聡明な女ははいて捨てるほどいるはずなのに、なぜ桜なのだろう。
自分には彼女しかいないのに、よりによって。
ふる、と金の頭を振った。
弱気になるまい。
そう思って、曲芸を指差して自分に微笑む彼女に、笑顔を返した。
「…確かあっちの遊技場の前に、客寄せに動物の曲芸を見せる一座がいるはずだ。見に行こう」
「あ、うん、見たい」
また自分に目線を移して笑う顔に、ぎこちなく微笑みを返した。
今日だけは、私のものだ。
一瞬だって、他の人間に譲りたくない。
ひどい独占欲に自分でも小さい奴だと思うが、もうこんな一日を、次いつ得ることが出来るか分からない。
呼べば桜と好きなだけ会える王や、必ず月三日、桜との時間を持てることを仕事によって保証されているあの二人とは違うのだ。
「わあ、かわいいね!」
ハムスターのような生き物が、何匹かでちょこちょこと芸をするのを眺めながらにっこり笑う桜を、そっと横目で見る。
王宮に帰りたくない、と、近侍になって初めて思った。
こうやって休日に二人で楽しんで、当たり前に自分たちの家に帰っていく夫婦が羨ましい。
王の心が、桜から離れることはないのだろうか。
他に主君の寵愛を得られるだけの美しい女や、聡明な女ははいて捨てるほどいるはずなのに、なぜ桜なのだろう。
自分には彼女しかいないのに、よりによって。
ふる、と金の頭を振った。
弱気になるまい。
そう思って、曲芸を指差して自分に微笑む彼女に、笑顔を返した。
