デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~


スッキリとした頭で、目が覚めた。

「ん……」

こし、と目をこすって、少し身を起こす。

(あれ?ここどこ?)

見知らぬ部屋の様子に、首をかしげる。

ふと前を見ると、カナンが椅子に腰掛けて、少し顔をうつむかせて静かに眠っていた。長いまつげが影を作って、人形のような雰囲気だ。

(何で、こんなとこにいるんだっけ)

さっきまで、大通りを一緒にあれこれ見ていたはずなのだが。
記憶がなんだか曖昧だ。
思い出そうとしても、ものすごいモヤがかかっているようで、全然分からない。

もそもそと上半身を起こして、カナンがかけてくれたらしい薄い布団をたたむと、ふっと彼の目が開いて、緑の瞳が一瞬目線をさまよわせた後、桜を見た。

「あっ、カナン、起きた?」

桜が言うと、複雑な表情をして、軽く睨まれる。

「お前は良く寝てたな」

「えっ…そうなの?ここどこだっけ?ていうか何でこんなとこにいるんだっけ?」

いつもの彼女だ。

ほっとして、カナンは立ち上がった。

「…お前の体調が悪くなってな。仕方がないからここで少し休ませていた」

何があったか、本当のことを言ってしまうと桜も落ち込むし、自分も軽蔑されてしまうかもしれない。