デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

すっかり熱情は醒めて、ただただ目を丸くするばかりだ。

寝た?この状況で!?


「………何なんだっ、こいつはっ」

次第に、無性に恥ずかしくなり、桜の寝顔を睨みつけた。

首をかしげながらもう一度、さっきの空きビンのラベルを注意深く読む。すると、

“持続時間:約4時間



※まれに、眠気に強く襲われる場合がありますが、天然由来の成分によるものであり、体に害はありません”

注意書きがひっそりと、自分をからかうかのように書かれてあった。

とんでもない疲労感に襲われ、椅子に座り込む。

良かった、取り返しのつかない過ちを犯すところだったと安堵する気持ちと、千載一遇のチャンスを逃したのではと思う気持ち。
その二つが頭の中をぐるぐる回り、カナンは背もたれに体を預け、天に向かって盛大なため息をついた。

そしてゆっくりと立ち上がり、くうくうと眠る束の間の恋人にそっと薄手の掛ふとんをかけた。

(……この。人の気も知らないで)

少々強めに、むにっ、と頬に人差し指を埋める。 

その後、そっとその黒髪をなでた。

まあ……いい。いい夢を見たと思おう。

(そして、いつか現実にしてやる)

そう、思った。