デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

何度めかのキスをした後に、二人の横顔がわずかに離れた。
少し息が上がっていて、じっと緑と黒の目線が絡みあった。
桜の黒髪が、シーツの上に乱れている。

カナンが荒い息をしながら、コツ、と額を桜の額につける。

「……………っ!」

ぎゅうっと目をつぶり、ありったけの精神力で、彼女の上から身を起こした。

「……カナン?」

「すまない……どうしても、我慢出来なかった」

はあ……と赤い顔をしかめて、自己嫌悪のため息をつく。

こんな事をしてしまって、桜が正気に戻った時何と言われるか。彼女の心を得るどころか、嫌われてしまうかもしれない。

そっと、桜も起き上がった。

「我慢なんか、しないで……カナン」

頬を赤くしたまま、揺れる瞳で訴える。

「違うんだ、今のお前は……薬の力で私を好きになっているだけなんだ。分かってるのに、こんな………」

頭を振って、歯を食いしばった。

「ううん、私、カナンが好きよ。もともと好きなの。薬の力は、少しそれを素直に出せるようにしただけ……きっと」

「!」

思わずカナンが桜の顔を見た。

そんなバカな。

すぐに頭で打ち消す。薬の力で、桜は私に嬉しい事を言っているだけだ。