デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

普段見ない桜を目の前にして、しどろもどろで何とか分からせようとするが、桜はカナンの手をそっと引っ張った。

「こっちに来て」

横に彼を座らせると、その顔を見上げた。

「キスして、カナン……さっきみたいに。お願い」

頬を染めながらそっと目を閉じて、唇が落ちてくるのを待つ顔に、また心臓が跳ねて、顔に熱が集まる。

可愛い。こんな顔、見たことない。今すぐ口づけたい。

ダメだ、これは薬で作られた偽りの彼女だ。それでいいのか。

2つの思いがせめぎあい、苦しいカナンが動けないでいると、桜が目を開けた。

瞳がいっそう潤んで、そっと金髪の頭を両手で引き寄せると、上半身で伸びあがって唇を重ねた。

「!!」

桜からの思いがけない口づけに、一瞬頭が混乱し、カッと顔の熱が上った。

「ん…カナン…カナン……好き………」

愛しげに呟きながら、一生懸命背伸びをして何度も小さなキスをする。

―――ああ、もう、無理だ。

力の限り抱きすくめて、深く唇を重ねた。

店の裏での、ただ驚かせただけだった一方的なそれとは違い、精一杯応える桜。そのぎこちなさに、胸がかきむしられるような愛おしさがつのった。

いつの間にかベッドに仰向けに横たわった彼女と、夢中で唇を交わしていた。