森の中を、甲冑とマントを身につけた若き二人の武官が馬首をならべて進んでゆく。
「しかし、なんでこんなへんぴなところに『神告』が出たんだろうな」
シュリが頭を軽くかきながらぼやいた。
「知らん。神と『神児(みこ)』との間など、人智の及ぶ範囲ではない」
アスナイがさらりと流す。
「ただ、我らが務めを果たすのみだろう。さっきも言ったが、とにかく間に合わなければやっかいだ」
「それは分かっているが…『何』が現れたかまではわからないんだろ。人か、魔か、それ以外の何かか。探しようがない」
「我が君が一つ、情報をくださった」
「王が?神児から聞いたのか」
「ああ。『魔のようであるが、決して魔ではない』と」
それを聞いたシュリは天を仰いだ。
「まっっったくわからねえ」
