デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~


逃げ場のないこの状態が、あと3時間以上。

カナンは頭を抱えた。

とりあえず桜をベッドに座らせ、自分はその前の椅子に腰掛けた。

「桜、お前がさっき飲んだのはその……果実水ではないんだ。すまない。で……今、私がお前にとって良く見えているのはその飲み物のせいだ。だから、なるべく冷静になれ」

まっすぐ桜の目を見て、つとめて優しく言った。

「………」

しばらく潤んだ目でじっとカナンを見つめていたが。

ポロ、と涙がその黒い瞳からこぼれ落ちた。

「!?」

ぎょっとして固まるカナン。

「さ……桜?」

「………ひどい…」

「えっ」

「私、カナンのこと、ほんとに好きなのに……飲み物のせいだなんてどうして、そんなこと言うの……私の言うことが、嘘だってこと?」

うつむいて、はらはらと大粒の涙を膝に落とす。

「いや…だから」

「カナン」

顔を上げて、桜が小さく言った。

「私のこと、嫌い?」

う………と言葉に詰まる。

「そんな事はない、さっき好きだと言っただろ。だがこの状況は違うんだ」