デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ぼうっとした意識の中に、カナンの香りがながれこんできた。

(…いい匂い……)

頭の中が、その香りで満たされた。

「桜、しっかりしろ。すぐ連れて帰るから」

緑の瞳が、心配そうに自分をのぞき込んでいる。

じっと見つめ返していると、何だか胸がどきどきする。


(カナンって、ほんとにきれいな人だな…)

瞳だけでなく、その髪も、声も、自分を支えてくれているその腕も、全てが今桜をときめかせていた。

だんだんと、体の火照りが落ち着いてきた。

意識も少しずつはっきりしてくる。

「……カナン、ありがとう、もう大丈夫」

そっと身を起こし、少しホッとした顔の目の前の金髪の少年を見る。

(……!)

桜の、黒い瞳が見開かれた。

どっと、カナンで頭と心がいっぱいになる。

ふわん、と目元がゆるんだ。

「……桜?」

何か様子がおかしいと気づいた彼が、桜に手を伸ばしたが。

それより先に、彼女がカナンをぎゅうっと抱きしめた。