デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

クラ、と目眩がした。

「あ…」

顔を押さえて、前かがみになる。

「どうした」

カナンが急いで膝をつき、桜をのぞき込んだ。

「ん…なんか、くらっとして……何だろ」

「日陰に入ろう」

そっと彼女の肩を抱き、静かな店の軒先に移動した。

「大丈夫か」

「うん……何か体がぽっぽするけど」

ぱたぱたと、手で顔をあおいだ。が、どんどん体温が上がっていくようだ。

「暑い……」

はあ、と一つ息をつく。カナンが額に手を当てて見ると、確かに火照っていた。
だが、汗をほとんどかいていない。

(熱中症かもしれない)

安静、塩分、水分補給、そして医者だ。

(すぐに王宮に戻らなくては)

近くの店に馬車を手配してもらおうと、体の向きを変えた。
その時、ストン、と桜が力なく自分の肩に頭をもたせかけてきた。

「しっかりしろ、分かるか?私の声が」

少し緊迫した声で、カナンが桜の背中を叩く。