デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

午後の日差しが少し強くなり始めた。

「疲れていないか」

カナンが桜を振り返る。

「うん、平気」

うなずいて、相変わらず物珍しそうに、通りの店の軒先を見ていた。
大路だけでなく、それと交わる横の通りもとても賑わっていて、確かにカナンが言うように一日では回りきれない程だと思った。

少し歩くと、ぐっと人の往来の少ない横通りがあった。

「あれ?ねえカナン、この通りだけ人が少ないね。どうして?」

桜の問いに、ああ、と何でもないように答える。

「このあたりは色街だからだ。居酒屋とか、娼館だとか、そういう店がほとんどだからな。こんな昼間から用がある人間はまぁまずいない」

「あ……なるほどね」

さすが王都、色街の規模もものすごく大きい。

そのままそこを通り過ぎ、大路に沿って歩く。
と、桜の目がある店に留まった。

大小様々、色とりどりの、鳥を売る店だ。
様々な鳴き声が混じり合い、賑やかというかけたたましいというか。

「わあ……」

珍しさに目を見張り、鳥籠をじっと見つめる桜。

「きれいだね」
「主に南方の鳥だな。金持ち連中に人気があるんだ」
「王宮にはいないの?」

カナンは苦笑いする。

「鳥ならほっといても庭園に勝手に来るからな。わざわざ飼ったりはしていない」

ふうん、と相槌をうちながら、手前の真っ白な鳥から、奥の紫色の鳥に目線を移したとき。