デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「ああそうだ、私の方の袋を開けてみよう」

少し元気がなくなった桜の心情を察して、カナンはわざと話を変えた。
桜の景品と同じ袋だったが、少し重くて、何やらひんやりしている。

中をのぞいてみると、二つのビンが入っていた。

「?」

首をかしげながら取り出してみると、色の付いた液体が入っていて、きれいな果物の絵が描かれたラベルが貼られている。

「何だろ、これ」

桜が言うと、カナンはああ、とビンを振った。

「果実水だろ」

小さなビンだから、高級果実水だろう。なるほどちょっとした景品にはいいかもしれない。

(ジュースみたいなものか)

目をしばたかせて見つめる桜に手渡した。

「喉かわいたんじゃないか?飲んでもいいぞ」

「あ、ありがとう」

少し桜が笑って、ビンのフタを開けた。
カナンはもう一本には手を出さず、袋ごとしまいこんだ。

「あれ、カナン飲まないの?」

「ああ、甘い飲み物は嫌いなんだ。あとでその辺で水でも買う」

「そっか。じゃあいただきます」

ゆっくりと甘さを味わいながら、大通りに行き交う人々を眺めた。