デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「や、やめろ!」

あわてて桜の両手をとらえて、ネコミミを外した。

「ええ…可愛かったのに…」

残念そうに唇を尖らす桜を、じろっと睨む。

「嬉しくない」

「あっ、じゃあ、他の人に見られない場所だったらいいの?」

「何?」

「今度私の部屋に来たときに、また着けさせて!お願い」

手を合わせて、黒い瞳できらきらと自分を見つめてくる。

(何で、そんなに気に入ったんだ………)

カナンは困惑する。
自分のネコミミ姿なんて、気色悪いとしか思わない。

「嫌だ。たとえお前の部屋でも、王宮内だ。誰に見られるか、分かったものじゃない。第一、客人の部屋に近侍はそうおいそれと入れない」

プイと横を向く。

「え〜…あ、じゃあ逆にカナンの部屋は?」

「は!?」

「カナンは、王宮に住んでるわけじゃないんでしょ?ならそこに私が行けばいいんだ!」

にっこり笑って両手に持ったネコミミを振った。

「ばっ……お前……」

途端に、顔に熱が集まってきた。
自分の部屋に、桜が来るという。
桜には全く他意はないようで、にこにことした顔を崩さない。

「もっとまずいだろっ、それは!」

赤い顔のまま、カナンが言う。

「え……何で?」

全く分からず、きょとんとする桜の顔を、忌々しげにまた睨みつけた。

「男の部屋に、簡単に入っていいのか?何をされても文句は言えないぞ」

「………あ」

ここでやっと、理解する。
またやってしまったと、赤面してうつむいた。