デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「はあ、お腹いっぱい…。ごちそうさま、カナン。でも、良かったの?」

「いいも悪いも、お前、無一文だろ」

ふっ、と笑われ、桜はうっ、と言葉に詰まる。

「そう…です……」

(何か、仕事をさせてもらおうかなあ、ほんとに)

お小遣い程度でも稼がないと、こういう時に困る。

「…別に、私は構わないけどな。自分とお前を養えるくらいは貰っているし」

「え」

思わず顔を見合わせて、同時に赤面した。

「あ…ああ、あはは、そうなんだぁ、カナン!ここ、高給取りだねぇ!」

「き、近侍としては普通だ普通!……ほら行くぞ、次は何を見たいんだ!」

赤い顔を前に向け、桜の手を引っ張って歩き出した。

さっきのように、王宮に戻るぞと言われなくてよかったと、少し安堵する。

そのまましばらく歩くと、ちょっとした人だかりができている露店があった。

覗いてみると、丸いプレートがかかっていて、様々なパーツに色分けされている。

「あれ、何?カナン」

「的当てだな」

「的当て?」

「ああ。小弓で、あの的を射るんだ。当たった色に応じて、商品が貰える」

「へえー…」

要は射的のようなものだ。桜がきらきらと目を輝かせて見ていると、くすっとカナンが笑った。

「やってみるか?」

「え、いいの?」

ぱあっと笑顔になる。ついさっきまで真っ赤な顔でうつむいていたとは思えない。