デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

『お前の方が、ずっといい女だ』

『嘘は言わないと、言っただろ!』

………今思い起こすと、ずっとサインを出してくれていたのかもしれない。

(とすると、私はかなり無神経だったな………)

自分のいたらなさに、冷や汗が出る思いだった。
カナンがいい加減怒るのもわかる。

でもまさか、自分にそういう好意を寄せる人間がいるとは思えなくて。

好意どころか、その真逆の感情を、小さな頃からずっと向けられてきたのだ。

(王様だって、未だに何で私なのかさっぱり分からない)

はぁ…と赤い顔のまま、小さくため息をついた。

また、カナンの横顔を見る。相変わらず窓の外を見ているが、何も言わない。

(…この雰囲気を、どうしよう)

相手が怒ってるのか呆れてるのか、分からない。

何と声をかけようか迷っていると、カナンがふと口を開いた。

「…さっきは、乱暴してすまなかった」

すっ、と桜の方を向いて、緑の目を伏せた。

「え…あ…」

「一昨日の夜…お前と我が君がどうなっても、受け入れようと思っていたのに、どうしようもなく妬いてしまった」

顔をしかめて、目を閉じた。

(……ん?)

何か、その言葉に違和感を覚える。