デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(さ…さっきのは……あれよね、もしかしなくても、キ…キ…)

また、目が回りそうになる。

さっき、まさにこの店の裏であった出来事。

口元を両手で押さえた桜は、頭に血が上りすぎたのか、くらあ、とふらついてしまった。

さすがに慌てたカナンは彼女を抱きとめて、とりあえず休ませるべく急いでこの店に入ったのだった。

激しい感情は今は収まったが、怒りに任せて王宮に帰るという感じでもなくなり、なんとも気まずいランチタイムになってしまった。

あれきり何も言わないカナンの横顔を、チラッと見た。

「…………」

何も言い出せずに、また目線を落とした。

(その、私にあんなことをしたってことは、カナンは私の事が、好…好………)

何で?何で?と頭の中をぐるぐる疑問が回る。

友達だと思っていた。頭が良くて、頼りになる人だと。

でも、あんな事はいくら仲がよくたって、きっと友達にはしない。それくらいは分かる。

(一体、いつから?私のどこを?)

知り合って間もなく、しかも最初はお互いあの態度だった。

(何で、私なんかを?)

王の時と同じ疑問が湧いてくる。

女性に対して嫌悪するあまり、吐き気をもよおすと言っていたカナン。
『お前なら大丈夫みたいだ』と言って、手をつないでくれて…

あ。

だ、抱きしめられた事もあったっけ………