デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ざわざわと、その広い食堂の店内は賑わっていた。

昼時を前に、食欲をそそる匂いがしはじめて、王都でも評判の店の一つとして有名な所らしく、ランチをとろうという人たちが次々に来店してくる。

今からが一番忙しい時間帯だ、と客席を見回すオーナーは気を引き締めた。

その窓際に面した隅の方の席に、きれいな顔立ちの金髪の少年が、わずかにばつの悪そうな顔で頬杖をつきながら、窓の外を見ている。

その向かいには、フードを深く被った女性の後ろ姿が見えた。うつむき加減で、太った背中は顔を見なくても不美人と分かるようだった。

(…あの子、振られたんだろうな)

オーナーはそう思った。

無理もない、釣り合いがとれなさすぎる。

あのぎこちない空気は、恋人や夫婦のそれじゃない、と。

(可哀想にな…)

そんな思いを彼女に向け、座席を回すため、再び視線を移した。

今のこの二人を見たら、10人中10人が同じように思っただろう。

実情はまるで違って、ついさっき起こった出来事を一生懸命受け入れようと、沈黙した少女が真っ赤な顔で瞬きしていたとしても。