デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「え……いいよ、悪いよ」

「いいから、早くしろ」

そんな二人を、女主人は微笑ましげに見る。

「いいねえ、若い夫婦っていうのは」

「………」
「………」

もう桜は恥ずかしくて顔が上げられない。アクセサリーを見るフリをしながら、必死に平静を取り戻そうとしていた。

「このネックレスは、ペアだよ。あとこのブレスレットも」

(な、な、何でペア……)

「ふーん。…ブレスレットは事務仕事に障るかもしれないな。じゃあ、このネックレスを貰おう」

「え!?」

またびっくりして固まる桜を尻目に、カナンはさっさと女に代金を払って2つのネックレスを持って立ち上がった。

「行くぞ」

「あっ……」

「毎度!赤ちゃん用のお守りもあるから、そんときはよろしくたのむよ!」

トドメの一言を背中に浴びながら、また手を繋いだ二人は歩き出した。

「カナン……どうしたの、いきなり…」

王宮の門を出たときとは大違いだ。

「別に。もう開き直りだ。どうしたって、他の人間からは夫婦に見えるんだろ。じゃあ話を合わせていた方が無難じゃないか」

「で、で、でも、ほんとにネックレスまで買わなくても…しかも、ペアって……他の人に知られたら、カナン誤解されちゃうよ」

おたおたと赤い顔で心配する桜を、思わずキッと振り返った。

(まだそんな事を言っているのか)