デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「そこの、キレイな金髪のお兄さん!お連れになっているのは、彼女かな、奥さんかな?」

思わず声の方を向くと、露店の中年女性が丸い顔にニコニコと笑顔を浮かべていた。

「あ…」

「街なかでフードをかぶるなんて、若者には今時珍しい奥ゆかしさだね。よっぽどお兄さんの事が好きなんだねえ。顔を他人にさらさないなんて」

ボッと、二人の顔が赤くなる。

(ああ…またカナンが嫌な思いするかも)

そう思って、桜があわてて「あの、違うんです」と言おうとすると、赤い顔をしたまま、カナンはそっと桜の肩を抱き寄せた。

「まあな。自慢の妻だ」

(え!?か、カナンどうしたの?)

びっくりしてその横顔を見上げて、ますます赤面した桜はうつむいた。

「ふふ、じゃあその可愛い若妻に、お一つどうだい。ペアもあるよ」

そう言って、女店主は片目をつぶる。

その前にはアクセサリーがところ狭しと並べられていた。

「商売上手だな」

ふっ、とカナンは笑って、店先にしゃがむ。

「桜」

真っ赤になっている桜を振り向いて、手招きした。
そばに来た桜に、

「一つ買おう」
「え、ちょっと待ってカナン、私お金持ってないの」

焦って手を振ると、カナンは眉をひそめた。

「お前に金を使わせるわけないだろ。好きなの一つ選べ」