デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「なんか、いきなり人が増えたね。車も、あんなにたくさん」

目を丸くして言う桜に、カナンがそっと言った。

「……都の大門の結界が、解かれる時間なんだ」

「結界?」

「ああ、今王都は神児によって結界が張られてる。外からは入れず、中からは出られる。ただずっとそうしていると、王都への物流が止まってしまうから、午前と午後2回ずつ、大門の結界だけが解かれるんだ」

結界とか…ほんとファンタジーの世界だな。

桜は感心して思った。

「でも、どうして結界なんか張ってるの?」

「それは……」

カナンは言いよどみ、小さく言った。

「…ここでは言えない。王宮に帰ったあとだ」

さすがに、『魔』の襲来がありそうだということが誰かの耳に入ったら、パニックになってしまう。

しばらく人と荷車の大波を眺めていると、徐々にもとの大通りの姿に戻ってきた。

「ある程度過ぎたようだな。行こう」

また二人は手をつないで歩き出した。

たくさんの店舗の他に、露店も延々と都の大路に沿って並んでいる。

地方から集まってくる生鮮食品の他に、毛皮や工芸品などの店も、ところ狭しと並んでいた。

桜がまた興味全開でそれを眺めていると、声がかかった。